速度違反をした話
バイトに向かう時だった。
連休前は本職が忙しく、連休になると一日中バイトで疲れていたのだろう。
連休最終日に寝坊をしてしまった。
急げば間に合うと思ったので用意もそこそこにバイクに飛び乗ってバイト先に向かった。
大通りなのに車通りも人通りもそんなにない場所だった。
手前に3つ、少し離れて1つ信号があり、手間3つの歩行者用信号が少し間を置いて順に点滅に変わったので速度を上げた。
この分なら離れた信号もパスできそうである。
そうすればしばらく信号はない。
なんとか渡り切りたい。
そんな心理状態だった。
手前の信号をパスしたとき左から人が飛び出してきた。
驚いて速度を緩めると、後から旗を持った警官がでてきた。
そこでようやく事態を理解した。
いわゆるねずみとりだ。
スピード出過ぎだよと一言目。
そのまま誘導されサイン会場へ。
速度はだいぶ出ていたようで52km/hオーバーだった。
1発免停どころの騒ぎではない。
12点の加点だ。
急いでいたのか聞かれた。
急いでいたと答えた。
しかしそれで何かが変わるわけではない。
まして見逃してもらえるわけもない。
なんの意味もない会話なのである。
バイト先に電話すると、たまたま忙しくなかったようで、安全運転でおいでと言ってくれた。
人生とは面白いものである。
一度転落すると坂道を転がるように次々と転落していくようである。
バイトも本職も運転が絡む。
前回の右折の時と合わせて14点である。
これは面取りでもおかしくない点数になる。
面取になると本職はクビが見えてくるしバイトも出来なくなる。
すると借金も返せなくなる。
違反金も借金することになる。
面取になったら文字通り首を吊るしかないだろう。
悪いのは自分である。
借金をつくったのも、バイト先を選んだのも、バイク通勤にしたのも、寝坊したのも、速度を出したのも全て自分の選択である。
それは理解するが、こうもなにもかもうまくいかなくなると面白い。
世界に死ねと言われているような気持ちになる。
処分が決まるのはしばらく後なので、それまでは生きようと思う。
が、死んでもいいように、どこか時間をみつけて私しか出来ない事や知らない仕事内容は引き継ぎ資料をつくっておこう。
来月以降の予定も立てるのは控えよう。
面取りになったら気分が変わらないうちにその足で死のうとおもう。
死ぬのは別にいいのだが、残す家族や彼女、友人や仕事仲間のことを思うと申し訳なさで泣けてくる。
こんな私でもそれぞれに好いてくれて期待してくれていたのに答えられないのである。
本当にごめんなさい。